オークション
☆☆☆

それから数時間後。


あたしは前回と同じように車の中で目覚めた。


今度は混乱することなく、自分の状況が把握できる。


ベッドの横にはオークションのスタッフがいて、目があった。


「気分はどうですか?」


「最高」


あたしはすぐにそう返事をした。


両腕を上へ突き出すようにしてあげると、男らしい太いものになっている。


「この腕、すぐにあたしのものになる?」


「もちろんです」


スタッフは笑顔で頷いた。


七島雪穂さんの足をくっつけた時は、見た目もすぐに自分の体に合う物へと変化していった。


しかし、藤吉さんの手はしばらく五良野正子さんのままで、シワが残っていた事を思い出す。


そのシワも、海外へ出発するときにはすっかりなくなり、10代の綺麗な手に変化していた。


「どうすれば見た目の違和感はなくなるの?」


「元々体に合っているかどうか、また上手に使えるかどうかで違和感は消えて行きます」

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