オークション
☆☆☆

会場内は女性のお客さんたちで埋め尽くされていた。


中にはそのままでも十分に可愛い顔をしている人も沢山いる。


それでも《ミス日本の顔》が欲しいと言う事は、日本の美意識はとても高い位置にあるのだろう。


一般人がモデルを見て自分もこうなりたいと感じて、ダイエットを始めるのと同じだった。


モデルはモデルという職業だからある程度スタイルを維持しなきゃいけないだけ。


なにも一般人がそれを真似する必要なんてないんだ。


だけど、日本人の大半がそのことに気が付いていない。


モデルと同じ服を着るためには同じ体型にならないといけない。


自分に似合う服を他に探す。


という事をする人はとても少ない。


あたしは後ろの方の席に座って周囲を見回した。


見える範囲にいる人たちは、オークションでは見たことのない顔ばかりだ。


これだけ大人数の特別会員の女性がいたなんて、思ってもいなかった。


やっぱり、女性は用心深く得体のしれないオークションなんかに参加していなかったのかもしれない。


だとすれば、今日の参加者は大半が初参加だ。


2度も才能を落札しているあたしは、強い立場にいる。


あたしは舌なめずりをしてモニターへ視線を向けた。


ステージにモンピーがのそのそと上がって来るのが見えた。
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