オークション
あたしはその布の端をつかみ、それを床へ落とした。


布の下から、透明ケース内で冷凍保存されている脳味噌と心臓が現れた。


「藍那、久しぶりだね」


あたしはその2つに声をかけて、ニッコリとほほ笑んだ。


才能に溺れて腐敗した親友に、こんな形でまた会えるとは思っていなかった。


藍那が購入した《ミス日本の顔》の代金が未払いのため、こうして藍那自身が商品としてオークションで出品されることになったのだ。


藍那のご両親はまだ藍那は行方不明なのだと思い込んでいるようだけれど、そう思い込んでいる方が幸せなのではないかと思う。


自分の娘の脳味噌と心臓がこんな場所にあるなんてわかったら、とても正常な精神状態を保っていられないだろう。


「今日の商品は《美少女マラソン選手、彫刻家、北川藍那の脳味噌と心臓》ね。これ商品名を短くできないかなぁ? 噛んじゃいそうだよ」



あたしはそう呟き、藍那に背を向けて仕事へと戻ったのだった……。







END
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