オークション
自分を誤魔化してまで告白を受ける事はないだろう。


「あたしも、そういう風になりたい。まぁ、エレナみたいにモテないから自分の気持ちなんて言っていられなくなるかもしれないけどね」


冗談めかしてそう言うと、エレナが「もぉ!」と、クッションであたしを叩いて来た。


ベッドの枕を掴んでそれに参戦するあたし。


まるで修学旅行の夜のようにはしゃいでいると、あたしのスマホが鳴った。


人気バンドの音楽が流れ始めて、あたしたちは手を止めた。


テーブルの上に置いてったスマホを手に取り、画面を確認する。


メールが来ている。


「メール?」


エレナが横から覗き込んでそう聞いて来た。


「見ないでよ」


「男?」


「それなら喜んで見せて自慢してる」


あたしはエレナにそう返事をして、また2人で声をあげて笑った。


そして、メールを開く。


メールの相手はよく利用している通販サイトからだった。
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