オークション
その瞬間。


体中に血液が駆け巡った。


見覚えのあるメール画面。


特別会員当てのそれを見た瞬間、自分の中で沸騰していく感情に気が付いた。
このままじゃ嫌だ。


普通の枠の中に入ったまま終わるなんて……。


あたしはメールの内容をロクに見ずに立ち上がっていた。


「藍那……?」


エレナが首をかしげてあたしを見る。


オークションの会場は前回と同じ。


開始時間は2時間後。


学校を終えてからでも走って行けば間に合う時間だった。


でも、前回のオークションを思い出すと、早めに行動した方がいいのは一目瞭然だった。


「ごめん、なんだか体調が悪くて……」


「え、そうだったの!? 早く行ってよ」


エレナは焦ったようにそう言い、立ち上がった。


お弁当は食べかけだけど、食べている暇なんてない。


保健室へ行こうと提案して来るエレナを断り、あたしは真っ直ぐ教室へと向かった。
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