オークション
☆☆☆

開始時間まであと30分ほど残しながらも、会場が満席になった時司会者のモンピーが現れた。


「今日は沢山のご来場ありがとうございます！」


ピエロのふざけた格好をしているモンピーが丁寧に頭を下げて挨拶をする。


「司会を務めさせていただきます、モンピーでございます！！」


その挨拶に会場内から拍手がわく。


あたしも同じようにモンピーへ拍手を送った。


どす黒いオークションで唯一明るさと楽しみさを与えてくれているモンピー。


彼の仕事はプロフェッショナルだ。


「さぁさぁ！　今日はとっておきの品物と言う事で、すでに満席御礼です！！　予定時刻より少し早いですがさっそくオークション開始です！」


『とっておきの品物』と言う言葉にあたしは自然と身を乗り出していた
《画家の手》よりももっと、ずっといい物だろうか？


そう思っていると、スタッフと一緒に若い男性が1人ステージへ上がって行く映像が映し出された。


その瞬間「あっ」と、思わず声を上げた。


それは何度もテレビで見たことのある男性だったのだ。
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