オークション
その言葉にあたしは自分の耳を疑った。


脳味噌!?


「僕は自分の目標はすでに達成しました。世界中の方々に少しでも元気になってもらいたい。


それが僕の目標であり、夢だったからです。そして、夢を実現させた後、これから先どうしようかと考えました。


日本一のIQを使い、どんないい世界を作ろうかと……。


そして、たどり着いた答えがこのIQを必要としている人に、脳味噌を使ってもらう。と言う事でした」


戸田啓太は少しほほ笑みながら言葉を紡いでいった。


「僕はこの脳味噌を使い自分の好きな事をしてきました。世界の人のためだけじゃなく、ちゃんと……」


そこまで言ってマイクを一旦離し、モンピーへ何かを聞いた。


モンピーはうんうんと何度か頷き、オッケーサインを出した。


「この会場内では法律は成立しないということなので、言わせてもらいます。このIQを使い僕は数々の詐欺を行ってきました。


個人への振り込め詐欺をはじめとし、組織へのサイバー攻撃、国家への脅迫。正直、金は有り余るほどに持っています。


使っても使いきれないくらいの量を」


突然衝撃的な発言を始めた戸田啓太さんに会場内は静まり返った。


彼の言葉の一語一句が驚きと衝撃で、あたしの頭は完全についていかなくなってしまっている。
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