神恋~水神様に恋をした~


白から逃げなきゃ、白の近くにいちゃいけない。

そんな考えが頭に浮かぶ。

今にも後ずさりしてしまいそうな私の腕を白は掴む。

もう逃げられない。


「濡れ女、苦しいか?」


白の瞳は私を見ているけれど、だけどどこか別の者を見ていた。

濡れ女って、あの腰から足にかけて魚のようなヒレをもつ化け物。

人魚はそこからきていると言われているほどだ。

獣の匂いとはこの人が放つものだろうか。

濡れ女にとって清い水は敵。

だから、白といるとこんなにも苦しいのか。
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