マーメイドラプソディー





「あ… 目覚めた?」





あの人の声が聞こえる。

私を捕まえたあの人の声。





不快感が心の中で沸々と沸く。

私は 振り向きたくなくて背を向けるように

寝返りを打った。





「参ったなぁ…。」





こっちのほうが参ってるわよ…と

ツッコミを入れる。

こんな状態でもそんなことができる

気力が残ってるんだ。





「…何?」





不機嫌感丸出しで睨みつける。





ディープスという研究者… いや

私を『捕まえた』研究者は

やっとこっちを見てくれたと

言いたげな顔で





「おはよう どうだった?

アクアリウムの居心地は?」





「勝手に捕まえといて、居心地はどう?

お気楽な人ね。」





ディープスは相変わらず 気まずそうに

頭をかいている。

少し嬉しそうに見えたのは、

私がやっと話したからだろう。





私が今いる ここの名前は

『アクアリウム』

と言うらしい。





昨日はパニック状態で何にも見ないで

ただ震えていたけれど

意外と設備は整っている。





「なんかむかつく…」





無理やり連れて来られたことも

設備が無駄に整っているのも

目の前のコイツがヘラァっと笑ってるのも





昨日私が海面に近づいてしまって…






全てが変わってしまったんだわ…





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