Butterfly
ぎゅっと私を抱きしめて、蒼佑さんが私に深く口づける。

全てのものが溶けあうように、私たちは何度も何度もキスをした。

「・・・このまま抱いていい?」

息をつく間に、彼が私に問いかける。

静かに頷くと、再び彼は口づけて、私の身体を抱き上げた。

信じられないほど、心地が良かった。

こんなにも距離が近くなったのは初めてで、心臓が破滅しそうなくらい、ドキドキと音をだしていた。

ベッドにゆっくり降ろされる。

彼の香りが身体を包んだ。

真上に彼が重なると、頬の温度が、止められないほど急上昇した。

「痛かったりしたら言って」

私が頷く。

蒼佑さんは愛おしむようなキスをくれ、その唇を徐々に首筋に滑らせていく。

甘くて、くすぐったくて、すごく不思議な感覚がした。

胸元を、包むような大きな手。

そして、痣の部分に彼の唇が触れた瞬間、私は気持ちを抑えられずに、再び涙を流してしまった。

「・・・千穂ちゃん?」

「・・・うっ・・・ん・・・」

「あ・・・どうした?嫌なら、やめるから」

「ううん・・・そうじゃなくて・・・」

手でぐいっと涙を拭いて、心配そうな彼を見上げる。

「・・・嬉しいの。幸せで・・・涙が出たの」
< 178 / 186 >

この作品をシェア

pagetop