Butterfly
「うん。昨日の夜、市谷班はみんな仕事で呼び出されてね。

岡本さん、『千穂ちゃんとデートだったんだ』って、話をしてたらしいから」

「そうだったんですか・・・」


(そっか、それで・・・。蒼佑さん、メールするヒマなかったのかな)


彼から連絡がなかったことに、理由を見つけてほっとする。

そんな私に「あのね」と言って、玲奈さんはウフフと笑った。

「岡本さん、千穂ちゃんのこと『かわいいかわいい』って、しょっちゅうみんなに言ってるらしいよ。

昨日もずっと言ってたって、龍平が笑ってた」

「えっ!?」


(しょっちゅう?そして・・・みんなに?)


昨日の今日の気まずさで、少し疑ってしまうけど。

嬉しいような複雑な気持ちで、私は「うーん」と考えた。

「・・・しょっちゅう、ですか」

「うん。しょっちゅう」


(・・・そうなんだ)


「嬉しい気もするけど・・・。ちょっと恥ずかしいですね。やめてもらおうかな・・・」

「えー、なんで?いいじゃない」

私の呟きに、玲奈さんが心底疑問な様子で問いかける。

「だって・・・『そんなにかわいいのか』って、へんな期待が生まれそうだし・・・。

実際に会った時、がっかりされたらショックだし・・・」

「大丈夫だよー。千穂ちゃんかわいいし。なんせあの出会いだったしね。千穂ちゃんのこと知ってる人も多いもん。

龍平も『あの子が彼女なら、そりゃかわいいよなー』とか一緒になって言ってるよ」
< 27 / 186 >

この作品をシェア

pagetop