隣の席は、ヤンキー君!


いつも通りの帰り道。

三人で並んで、他愛もない会話をする。

話題の提供者はほとんど愛で、いつも笑いをくれた。

楽しいと思う。


いつも通りの帰り道。


「――二人ともありがと!」

じゃあね、と言ってマンションの中に消えていく。


その背中に手をふる結衣。

それを見守るあたし。


「……美咲ちゃん」


愛の姿が完全に消えたあと、結衣が口を開いた。


「……気になるんならかけたら?」


そう言ってやると、結衣は誰かにかけはじめた。


「――――葵お兄ちゃん、ちょっといいかな」


電話の向こうで狼狽える葵さんが目に浮かんだ。

大変だねぇ、葵さん。


そう思いつつも、あたしもかける。



「――――あ、兄さん?
ごめん、ちょっと聞きたいことが――」


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