ガラスのハート

「あなた。お弁当、ここに置いておくわね」

 そんな真一の心中など知らない菜々美は、それだけ言うと、キッチンの横にある階段を上がって行った。

 彼女の部屋は二階だ。

 ふたりは夫婦間の すれ違いが生じてから、寝室も別だった。

 真一は「おう」と返事をしながらも、返事をしなくても一緒だと思った。
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