203号室で暮らそう


「――38度2分。風邪だね、ゆーか」
 
私をベッドに寝かしつけ、体温計を受け取ると、困り顔で陽景くんは言った。
 
彼に言われるまで、気がつかなかった。
 
昼間は、ショッピングした後、ファミレスで食事して帰ってきたんだけど。
 
家に入るなり、陽景くんが“さっきからずっと顔赤いよ。熱、あるんじゃない?”と言い、そのまま私はベッドへ直行させられたんだ。
 
熱があるっていう自覚はなかったんだけどなぁ。

「風邪じゃない、知恵熱だよ」

「――。元彼と会ったからか?」

「……」
 
私は毛布を鼻の下まで引っ張り、黙って頷いた。
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