203号室で暮らそう
「本日は、当店のフルコースを召し上がっていただきたく思います。どうぞ、今宵は……って、ゆーか?」
 
自然と、私はぽろぽろと涙をこぼしていた。
 
自分でも解らない。
 
陽景くんに久しぶりに会えた嬉しさなのか。
 
彼のこのボーイ姿に驚いたのか。
 
スープが懐かしかったからなのか。

「ゆ、ゆーか? ゆーか?」
 
ああ、彼が私を心配する時、連呼する私の名前――。
 
それも、変わっていない。
 
なんだかそれが……嬉しい。
 
嬉しくて、涙が止まらない。
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