進む道。

「お、何々?お楽しみちゅうー?」

「あら白沢さん、どうしたの?」

戻ってきた二人の雰囲気は、さっきとは違い懐かしいものに変わっていた。それはきっと、二人がまた昔のように戻ったことを表しているのだとすぐに分かった。

幸せからか小さくにやけてる木葉に、笑顔がいつもより輝いている姉ちゃん。

四年も離れていた溝を埋めるように、二人は幸せを噛み締めているようだった。

(良かった。)

「それにしても、俺が居ない時に嵐が喧嘩を買うなんて。よっぽど白沢さんが殴られたことが頭に来てたのか。」

「なっ。ちょ、木葉うるさい。」

「嵐君、とてもかっこ良かったんですよ。六人の先輩方に臆せず、一人ずつ鳩尾にきついのを入れてましたから。」

「あらそうなの、凄いわねえ。」

「そっちはそっちで何の話してるの。」

笑い声が響く部屋に、一人赤くなって顔を隠す。三人はそれを見て、また笑っていた。

穏やかな時間。

たった二日でも、色々あった大事な二日間。

姉ちゃんの言う子供な俺達は、多分この二日で成長なんて出来ない。

やっぱり、恋人同士に戻った二人には少しモヤモヤするし、出てきた恋心に一喜一憂してしまう。

でも、彼女もアイツもこの人も俺も。

皆がそうして一日を考えて一生懸命生きていくなら、それはそれで楽しいと思わねえ?




「今の子供達には、たくさんの試練がある。それに立ち向かわなくてもいい、怖がってていい。でも、生きていくのにその怖さを理由にして、逃げちゃダメ。生きていく中で少しだけ楽しめたら、笑顔で過ごせたら。きっと周りも、小さくても変化していく。押し付けられる自由から、貴方達が前を向いて笑顔で過ごせる自由へ。大人は…家族は、先生は。いつもそれだけを願っているから。」

『恋をして、喧嘩して、仲直りして、たくさんたくさん生きる事に迷いなさい。そして、自問自答して答えがでないなら、信頼できる人に話しかけてみなさい。自分達だけの世界だと割りきらず、周りに溢れる色んな世界を見てみなさい。綺麗事でも、それだけで世界は少しだけ素敵なものに変わるから。』




「はい。センセ。」



窓から見える青い空。
浮かぶ飛行機雲。
正夢から出会った女の子は、俺にたくさんのものを運んでくれた。

「あ、そうだ。嵐君。」

「は、はい。」

「傘を貸してくれたあの日から、ずっと好きでした。」

「え、えええええええええええ。」

それはきっと、これからも続くのかもしれない。




fin…?
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