双姫 Ⅲ


「天空!」


お父さんが天空に呼び掛ける。


「父さん、良いの…?」


「あぁ。」


なんのやり取りをしているのか
いまいちピンと来ない。

でも、天空は分かったのかニコッと笑った。


「うん!僕もそろそろこの状態は飽きた!!
ねぇ!オジサン?降ろして??」


「な、何言ってんだクソガキ!!
テメェは人質なんだよ!」


「人質…だそうだぞ?天空。」


お父さんが口元を抑え、笑っている。


「な、何笑ってやがる!?
遂にぶっ壊れやがったのか!!??」


ヤクザは更に激情し、
今にもそのナイフで首を切りそうな勢い。

そんな状況に私達は青褪め、立ち竦む。


「ねぇ、オジサン。」


そんな空気でも天空は、


「僕は飽きたって言ってるんだけどな…?」


平気そうに笑った。


< 104 / 520 >

この作品をシェア

pagetop