初恋は叶わない

二人は恋人?

もうまばらにしか車の停まってない駐車場に、

丸っこくてかわいいオレンジの軽自動車。

きっとレイナさんのだろう。

修ちゃんはバイクしか持ってないし。

開けっぱなしのトランク越しに、

二人が笑って話してるのが見えた。

相変わらず背が高くがっしりした体つきの修ちゃん。

日に焼けないよう、長袖のパーカーを羽織って、

ホットパンツをはいたレイナさんは、小さくて華奢で。

年齢はレイナさんのほうが1つ上だけど、

そういうの、大人になると関係ないんだって、

なんとなくわかる。

客観的に見て、二人はとてもお似合いだった。

慣れた手つきで当然のように運転席のドアを開け、

エンジンをかける修ちゃん。

知りたくもない二人の日常が、

目の前で繰り広げられていくことに、

自分の心が着いていけてない。

一緒に来ていた同じサークルの人たちは、

一足先に帰ってしまったらしく。

ただそれだけのことなのに、

二人はもう公認なのだと暗に言われているようで、

車へと向かう私の足はいっそう重かった。

私たちが送ってもらったら、

誰かが乗れなくなったりしないの?とか、

遠慮するフリして、辞退しようと頑張ってみたけど、

逃げられなかった。

何台もの車に分乗してきてて、

全然そんな心配はいらなかったみたい。

そうだよね、高校生じゃないんだし。
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