初恋は叶わない
「昨日カテキョの日だったんでしょ?」

「うん」


即座に話を軌道修正してくるみか。

やっぱ、手ごわいなぁ。


「ちゃんと行ったんだー!
スゴイ、根性あるー!かりん」


それに比べると、ゆうきの反応は、いつもわかりやすい。


「そんな大げさなもんじゃないよ。
行かないと、次、もっと行きづらくなるから」

「まぁね、それは確かにそうかも」

「思いきって行ってよかったと思ってる。
行って正解だった」

自分に言い聞かせるように繰り返す。


「修ちゃん、何て言ってた?」

「何が?」


キョトンとして聞き返す私に、

ゆうきはいらだちを隠せない様子で。

「何って、決まってるでしょ。
レイナとかいう人とどうなってんのか聞かなかったの?
付き合ってるのか、ただのサークルの先輩なのか、
聞いたんでしょ、もちろん!」

みんなが一気に身を乗り出してくる。


「そんなの聞けないよ」


ぼそっと呟くと、

「聞きたくないだけでしょ!
決定的なこと言われるのコワイから」


ゆうきにバカにしたように言われてムッとして。

「それどころじゃなかったんだって。
こっちがなんか誤解されてて、いろいろ聞かれて、
それでもういっぱいいっぱいになって・・・」

頑張って言い返してみるけど、

言えないことだらけなんだもん。

自分で言ってても、説得力ないのがわかる。

さっきから隠さなきゃいけない方にばっかり神経が集中して、

これじゃ、相談もできないし。


「はっきりフラレた方が、次行けるからいいのに。」

「え、もうフラレてるでしょ。」

「それにしては元気じゃない?」


間違いではないにしても、あまりの言われように、

だんだんムカムカしてきて、

「元気で悪い?
言っときますけど、私、別にフラレてないから。
みんなしてフラレたフラレたって、いい加減失礼だっての!
昨日だって、早川に散々っ、」


思わず出した自分の大声にはっとして、

体中の血の気がサーッと引いて行くのを感じた。

誰も何も言わないから、余計に変な汗が止まらない。


「昨日?」
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