綾瀬さんは無表情。

1.綾瀬さんと僕。

綾瀬さんは無表情。




綾瀬さんこと綾瀬奈々美は完璧だ。
頭も良くて、スポーツもできて、スタイル抜群の美人だ。

そんな綾瀬さんに僕、岡本光太は恋している。
そんな俺は毎日、綾瀬さんの隣の席から読書をしている綾瀬さんの横顔を見つめる。
可愛いなぁ…鼻高いなぁ…まつ毛長いなぁ…

そんなことを思いながら。
俺は毎日綾瀬さんを見つめ続ける。

「なぜ、そんなに私のことを見つめるんですか？岡本くん。」

声もとんでもなく可愛くて、きゅんきゅんする。

「綾瀬さんのこと好きだからだよ」

そして俺は毎日告白している。
今日で実に50回目だ。でも、綾瀬さんは全く動じないで黙々と読書を続ける。

「岡本くんに好かれているということはまだ、いいです。ただ、私は今読書をしているので少し邪魔です。もう少し邪魔にならないようにしていただけると幸いです。」
「ひどいよ〜笑
てかさ、綾瀬さん俺のこと全く見てくれないよね。」
「じゃあ、見て言います。」

そして綾瀬さんは俺の目を見て言った。

「正直に言います。私は岡本くんのことは好きではありません。」
「なんでそこまで言い張れるのさー」
「本当だからです。」
「わかんないよ！これから好きになるかも！」
「なりません。」
「なる！」
「あの、そろそろチャイムがなるのでちゃんと座ってはどうでしょう？？」

綾瀬さんが本から目を離し俺を見て言った。やっぱり可愛い。

俺はちゃんと座り直して綾瀬さんを見つめる。

「またそんなに見つめて…
気持ち悪いです。」
「好きな子のことは見つめてたいんだよ。」

綾瀬さんがはぁぁ…と深いため息をつく。
でもそんな姿すら可愛いと思ってしまう。

「綾瀬さん、好きだよ。」
「呆れます。」

ごめんね、綾瀬さん。
でも綾瀬さんが好きなんだ。

これはいつか綾瀬さんの笑顔を見るため、彼氏になるために日々奮闘する男子高校生、岡本光太君のお話。