わたしの意地悪な弟
わたしの告白された弟
 わたしの心に比例するように、徐々に辺りが冷たい風に包まれ始める。だが、冷たさを感じたのは季節の移り変わりだけではないだろう。

 わたしは幼いころから顔に出やすいと幾度となく言われた。

 わたしと樹が一緒に登下校をしながらも、関係がうまくいっていないのは顔に出ていたのか、周囲にも気づかれていたようだ。

 今まで樹関係で嫉妬の眼差しを向けられていた反動からか、わたしのことをあざ笑う声も耳に届きだしていた。

 利香が庇ってくれたため、わたしの教室内ではそういう声を聴かないのが不幸中の幸いだ。

 樹との楽しかった時間を誰にも言わなかったのも、今から思えば運の良さの一つだと断言できた。

 来月になると樹の誕生日があるが、きっとそのころになってもわたしと樹の関係は今のままだろう。

 亜子は頬杖をつき、窓の外をぼんやりとみていたわたしの机に来ると、にっと笑う。

「今度、誕生日パーティしない?」

「誕生日? 誰の?」

 わたしはどきりとしながら問いかけた。

 樹の誕生日というにはまだ早く、そもそも亜子が彼の誕生日を知っているとは思えなかったのだ。
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