わたしの意地悪な弟
 日和は呆れたような表情を浮かべる。

 わたしと一樹が普段学校にいくよりも三十分も早い時間だ。

放課後なら買いものに出かけたりと多種多様な選択肢があるが、こんな朝早くに何があるんだろう。

「気になるなら、本人に直接聞けば?」

 日和はわたしの表情から疑問に思っているのを察したのだろう。

彼女はあっさりと言葉を紡ぐと、大げさに肩をすくめ、自分の部屋に戻っていく。

 顔に不可思議に思う気持ちが出ていたのだろう。

「別に一緒に行かないといけないわけじゃないから」

 わたしは誰に聞かせるわけでもない言い訳じみた言葉を残すと、リビングまで行くことにした。

 ふと、昨日のことが頭を過ぎる。彼なりに昨日のことを気にしていたのだろうかという気持ちが生じるが、自身でその気持ちを打ち消した。

あいつに限ってそんなことはないだろう。

 昨日も普通にしていて、今日になって気にするなど繊細な神経があいつにあるわけがない。

 わたしはリビングに入ると、母親の用意した朝食にを食べる。それでもいつもより十五分も早い。
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