社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
「ほんとうに美味そうに食うな」
「そうですか? 普通だと思うんですけど」
見られていると思うと、さっきまでの勢いが削がれておとなしく口を開ける。ちらりと相手の様子を窺うと、大きなパンケーキを大きな口で食べているところだった。
スイーツなのに、そんなに豪快に食べるの?
その様子がおかしくて、今度は私がクスクスと笑った。
「衣川課長だって、すごく美味しそうに食べてますよ」
「そうか? 普通だと思うんだが」
私が返した言葉と同じ言葉だ。
「もう! 真似しないでください」
「悪い悪い」
肩を揺らして笑う姿に、私も笑顔を返した。
窓から差し込む光が、笑顔の衣川課長を照らしている。そこにいるのは、今までの私の知っている衣川課長とは違った。鉄仮面なんかじゃない、陽に当たるその姿は暖かくて柔らかくて……目が離せなくなる。
——あぁ、私、好きなんだ。
そう自覚するしかない胸の鼓動を感じ驚いたけれど「あたりまえか」とも思った。
こんなに素敵な人、好きにならないはずがないじゃないと。