社内恋愛症候群～クールな上司と焦れ甘カンケイ～

「でも……私は、まだ衣川課長の元で働きたいです。まだ色んなことも教えてもらいたかったし、近くでアドバイスもしてほしいです。それでも、やっぱり別の部署に行くのが私のためだと思いますか？」

感情だけに突き動かされて、みっともないことを言っているという自覚がある。それでも自分の気持ちを聞いてほしかった。

「……っ」

一気に話をした私を見て、衣川課長は一度口を閉じた。

そして眉間に手を当ててから口を開く。

「それでも、俺は別の部署で頑張ってほしいと思う。……異動は俺の希望でもあるんだ」

絞り出すような声で、私は衣川課長に言わせたくない言葉を言わせたことを自覚する。
きっと、それまで私に気を遣ってあえて言わないようにしてくれていた言葉を無理矢理私がひき出したのだ。
あの告白のときから、きっとずっと気まずい思いをしていたに違いない。ただの部下から好きだと気持ちを打ち明けられて、扱いに困っていたはずだ。気まずい思いをさせていたのに、まだ部下でいたいなんていうのは私のわがままだ。