社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
第四章
第四章

年が明けてから二月に異動することが決まった私は、あわただしく日々をすごしていた。異動前というのは、どうしてこんなに忙しいのだろうか。毎日あっと言う間に時間がすぎてしまう。

通常の業務に交えて引き継ぎの説明をしていると、日中の時間はほとんど充てられて資料作りややり残した仕事をこなしていると、連日帰宅が遅い時間になった。

急な異動なので困ったことがあればその都度連絡をもらえればいいという話にしてはいるが、できるだけ一課のみんなの業務が止まらないようにしておきたかった。

そして私の異動前日業務終了後、第一営業部のみなさんが開いてくれた送別会へ出席した。

去年で別部署に異動になった人まで参加してくれている。貴和子さんも仕事が終わり次第駆けつけてくれる予定だ。

いつもは、末席であれやこれやと動き回る立場なのに、部長や課長クラスと並んで座ることになった。今日は私の送別会だから仕方がないのだが私の隣は衣川課長だ。

会は深沢部長の挨拶から始まる。

「うちの貴重な人材である、河原さんが第二営業部に奪われることになりました。俺は本気で泣きそうだ」

いつもの軽い調子に、みんな笑いながら話を聞いていた。

深沢部長の隣にいる、衣川課長に目をやるといつものなにを考えているのかわからない表情で座ったままだった。
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