フラワーガーデンへようこそ〜優しい愛をあなたに〜
それを見た悠人は、クスッと笑う。かすみはポリポリと頬をかいた。

「…貰えばいいだろ。どうせ残りは処分されるんだから」

「いいんですか⁈」

目をキラキラと輝かせそう言ったかすみを見て、悠人は笑いが堪えられなくなり、声を上げて笑った。

「…本当、お前って面白いヤツ」
「そ、そんなに笑わないでくださいよ」

「…貰っても、切り花なんだから、直ぐに枯れるだろ?」

「そうですけど…でも、その中の一輪は押し花にしてラミネートしてるんです」
「え?」

「自分が担当したお客様を忘れたくなくて、そうするようにしてるんです。それを見たら、あー、こんな事があったなあって思い出せるし」

そう話すかすみを見て、何でこいつはこんなに可愛いんだろうと、悠人は思った。

「…遠藤らしいな」
「…へへ」

「気持ち悪い笑い方すんな」

悠人はかすみの頭をコツンと叩いた。

かすみは、テーブルに残っている花で小さな花束を作るとティッシュを濡らし、切り口を包んだ。そして、紙に包むと、オフィスに持って行った。

…全ての片付けを終わらせ、帰り支度をすると、花束とカバンを持ち、外に出た。今はまだ2月、外はとても寒い。かすみはストールをしっかり巻きつけた。
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