バウンス・ベイビー!
ぐずぐずしている間に、平野が座っていたベンチから立ち上がってしまった。私の目の前に立って、にっこりと笑う。
「職場では言わないほうがいいのかなって思ったから帰りを待ってたんだけど、あそこで言った方がよかったか?」
顎が外れるかと思った。職場・・・作業場で小説作品に感想を!?頭の中では興味津々の顔をして私を見る高峰リーダーやパートさん達の姿が浮かび上がってくる。一瞬の間をあけて、私はぶんぶんと首を振った。
「い―――――――いやいやいや!そんなことない。いいの、ここで。どうぞどうぞ、承りますよ、ご意見でも苦情でも!」
必死だったので、ついそんなことを叫んでしまった。言ったあとですぐに後悔。しまった、私ったらなんてことを――――――――
「じゃあ、言わせてもらおう」
平野がまた笑って、それから首を傾げる。
「お前の書くラブシーンって、何であんなのなんだ?」
「―――――――――」
・・・あんなのって、何だ?
質問の意味が判らなくて反応できなかった。
とりあえず、読まれたくないところを平野にもしっかり読まれているらしい、それは判ったけれど。
あんなのって・・・どういう意味よ。
「・・・は?」
やっと出てきた声はそれで、私は眉間に皺を寄せる。
「どういう意味?お気に召さなかったなら・・・すみませんね」