「僕はずっと前から君を知ってるよ」

「お姉さんは…ほんとはすごくいい人なんですけど…」


「うん、そっか。

いい人ってことはしってるんだね」


わたしの左手に彼の右手がぶつかる。

……うっつ…ぅ

ひとりでトキめくわたし。

彼はなんともない。

1人だけ、照れてるのだ。


つまり、彼はわたしのことをなんとも意識をしてないってことなのだろう。



ただの、餓鬼としか、見られてないのだ。

わたしのことなんてなんともーーー。



「…っう…ひっく…」



「えっ、どうしたの?」


動揺する彼をもっと困らしてしまうわたしに嫌気がさす。

彼もそのうち呆れて、わたしのことを嫌いになるだろう。

お姉さんだってそうだった。

小さい頃はわたしのことも大切にしてくれているように見えた。

けど

すぐに手のひらを返すのだ。

人というのは。

お姉さんはわたしを嫌いになった。

それはわたしが悪いと、わかっていても、つい人のせいにしてしまう。


『 お父さんのバカ…っ!

なんでっ…しんじゃったのぉ…っ

ひっく…うっ…うわぁぁ…ん…っ』


泣いても泣いても

叫んでもーーーー


父は帰って来ない。

< 45 / 67 >

この作品をシェア

pagetop