ドラマ好きの何が悪い
10章 ドラマ好きと湿布
結局ゆっくり浸かりすぎた私たちは、時計を見て慌てて外に出て行った。

外に出ようと思ったら、温泉の玄関口に人がごった返している。

カイトとシュンキもその人混みの中にいた。

「ごめん、また遅くなって。」

私とハルカはカイト達の方へ駆け寄った。

そして、外を見て驚く。

滝のような雨が地面を打ち付けていた。

とてもじゃないけど外には出れる状態ではない。

「これって、ゲリラ豪雨ってやつだよね。」

「そう。今天気予報見てたんだけどさ、見てこれ。すげー雨雲がここらへんすっぽり覆ってやがる。」

カイトが手に持ったスマホを見せてきた。

「うわ、本当だ。やばいね。」

そして、シュンキが補足する。

「で、今この辺り警報発令中。しかも、高速向かう途中の道路が水が溢れて寸断されてる状態。」

「ええっ!帰れないじゃん!」

思わず、シュンキとカイトの顔を交互に見て、そして隣のハルカを見た。

ハルカは妙に落ち着いた顔してる。

このままだと、まじで一泊になりそうだわ。

だけどさ、この状態での一泊は、なんていうか不安。

明日帰れるって保証があればいいけど。

「雨はいつまで続く予定?」

「多分だけど、明け方くらいまでって予報では言ってる。やばいな。まじで今日中に帰るのは難しいかも。」

カイトは困った顔をして私を見た。

「とりあえず、この辺で一泊する?お金は俺は結構持って来てるしなんとかなるよ。」

シュンキは前髪を掻き上げながら私を見た。

その目にドキンとする。

今朝、いきなりキスされたシュンキの思いがけない一面を思い出す。

「そうだなぁ。この状態だと宿泊施設も込みそうだし、とりあえずいけそうなとこ予約入れてみるわ。」

カイトがいつになく頼りがいのある人間に見える。

ちらっとハルカを見たら、うるうるした目でカイトを見つめていた。

ハートマーク出まくってるよ。



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