ドラマ好きの何が悪い
頭が混乱してるような日に限って、仕事も多忙を極める。

とりあえず、目の前にある仕事を確実にこなしていくことに集中した。

私も一般職で入社しているものの、中堅どころ。

上司から主任の昇格試験を受けないか打診されるような身だ。

いい加減な仕事は後輩の前ではできない。

ケアレスミスはまぁまぁしてるけど、そこは長年の経験で皆にわからないように自分自身でフォローできるようにもなっていた。

でも、こういう時に限って、ほんと大きなミスをおかすものだ。

お昼を回って午前中に残っていた仕事を一気に済ませ、そろそろコーヒータイムでも取ろうかという時に上司に呼ばれた。

「おい!ちょっと来い。」

いつも笑顔の上司の表情が固い。

胸の奥の方でざわざわと嫌ーな感じがする。いわゆる嫌な予感てやつ。

「はい。」

上司の下へ飛んで行った。

「午前中、お前に頼んでた午後からの予算会議の資料。めちゃめちゃだったぞ。」

「え?」

うそ。

いつも通りに上半期見込み決算を入力して、予算との対比表を作成したはずだし。

上司から付き出された資料を必死に見つめた。

どこが間違ってた?

わからない。どこがめちゃめちゃなのか。

焦りで額にじんわり汗がにじみ出た。

「これ、俺が訂正した分。まだわからないか。」

明らかに上司の声色は怒っていた。

上司からの訂正分を見てハッと気づく。

予算、今年度じゃなくて昨年度の分だった。見間違えという単純なミス。

だけど、上司はこの資料を持って役員達と予算会議に出たわけで。

「すみません!」

頭を下げた。

「お前なぁ、ほんと頼むよ。これじゃ、今まで頼りにしていたのにできなくなるじゃんか。」

胸にぐさりと深く刺さる言葉だった。
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