ドラマ好きの何が悪い
シュンキは穏やかな笑みを浮かべて頷いた。

「僕には覚悟はできてたし、そう言われると思ってた。面と面向かってはっきり言われると結構きついものはあるけどね。」

長い沈黙があった。何の言い訳も言葉も見つからなかった。

シュンキは大きく息を吐いた。

「元カノに呼び出されて出向いてしまう自分、そして、カイトの気持ちを知りながらミナミさんに惹かれてしまう自分、そんな自分にすごく嫌悪感を抱いてた。だから、君に全てを正直に話してジャッジしてもらおうと思ったんだ。そんな決断下したのも、ついさっきだけどね。我ながら暴走してるなって思うよ。」

シュンキは笑った。

カイトもシュンキも一人で言いたい事言って、すっきりして私を置いて行く。

私は何も言えてない。自分が何を言いたいのかもはっきりしてないっていうのに。

一体何だっていうのよ。

私をなんだと思ってるの?!

また独りぼっちじゃない。

もう36歳なんだよ?若くはない女一人ぼっちにさせてどういうつもりなの?

うまくいきかけたら、いつもこうなんだ。

神様に、お前は一人で生きていけって言われてるようだわ。



カイト・・・今更、今更なのよ。10年という時間は長すぎる。

私もいい大人だ。今更、カイトになんて言えばいい?

「カイトは、絶対君を一人にしないよ。」

シュンキの声が優しく頭の上で響いた。

カイトは海外へ行っちゃうの。

遠いところへ行っちゃうのよ。

カイトの人生を引き留めてまで、そばにいて欲しいなんて思わない。

そんなこと言えるわけもない。








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