ドラマ好きの何が悪い
「いいとこ知ってる。それほど高くないけどすごくおいしいの。」

「そこでいい!」

カズエは私の腕に絡みついた。

道中、ウィンドウショッピングで寄り道しながら、ようやく目的地に到着。

店内はやや混んでいたけど、私たちの席はすぐに案内してもらえた。

板前さんのオススメを聞いて、握ってもらう。

カズエは、「こんなのも独身以来久しぶり!」と嬉しそうにしていた。

そうなんだね。

主婦もいいことばっかじゃないよね。

自分もいつか結婚して、子供持ってって思ってきたけど、主婦をちゃんとこなせるかは別問題だよな。

時々カズエと話してて思っていた。

ひとしきり食べて、お茶をゆっくりと飲む。

「おいしかったぁ。」

カズエは少し遠い目をして息を吐いた。

「本当にご馳走になっていいの?」

「いいよいいよ。たまにだし。」

私は最後の握りを口に放り込んだ。

「ありがとうね。」

カズエはペコリと頭を下げた。

「お茶しにいこっか。ゆっくり話したいし。」

カズエは立ち上がった。

「そうだね。この近所においしいケーキ食べれるカフェがある。」

「そこにしよ!」

カズエの目がきらっと光る。

ほんと、久しぶりなんだろうね。

少しでも気分転換になるんなら、よかった。
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