社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
第四章

第四章

ひとつがうまくいくと、色々なことがスムーズに運ぶようになることはよくあることだ。

実際に今の私もそうだった。

やることなすこと上手くいく、といえば少し言いすぎかもしれないが、気持ちがすごく前向きなおかげで、仕事もいい成果が出ていた。

「頑張ってるな」

今朝、早めに出勤して仕事をしていると、山崎部長に声をかけられた。

あの日の発言はショックだったが、山崎部長の態度はずっと変わらない。

だからといって、あの日の言葉を忘れたわけではない。けれど必要とされていないなら、必要とされる人に私がなればいいだけの話だ。

相手を変えることは不可能に等しいけれど、自分を変えることはできる。

私は、以前よりも仕事中も周りとの人間の距離を縮め、笑顔をみせるように努力していた。

ほんの数週間のことなのに、滝本さんや成瀬くんに『雰囲気が変わった』と言われたし、気のせいかもしれないが、三木さんの私への態度も軟化した気がする。

「蓮井さん、これありがとうございました」

斜め向かいの席から、資料を手に三木さんが話しかけてきた。

さきほど経理から数字の確認があって、代わりに答えていた件だ。
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