強気な彼から逃げられません




怜さんの細い指先から魔法がかけられるように、私の頑なな心は次第に溶かされていくようだ。

恋をして、人を好きになって、求めてしまう。

愛しすぎるほどに愛してしまう私の恋愛は、怜さんにとっての重荷にはならないのかと、そんな不安がゼロになったわけではないけれど。

「怜さんの部屋のキッチンが使いやすかったらいいな。……人参のきんぴら、私得意なんだ」

怜さんに、手料理をふるまいたいと、そんな気持ちに素直になってみようと、思えた。

怜さんが私を求めてくれるのなら、その気持ちを信じてみたいと、笑顔を浮かべた。

そんな私の言葉に、怜さんはほっとしたように息をつくと、今まで見せていた以上の温かい瞳を私に向けて。

「俺の部屋にきて、キッチンでもリビングでもゆっくり見たらいい。あ、寝室も、十分確認してくれていいぞ」

「な……」

にんまりと笑った怜さんの言葉に、一瞬で体が熱くなった。







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