久瀬くんは〇〇恐怖症
再びざわっとした廊下。

「…さっきのみたらわかると思うけど、
下梶と…優雨と付き合ってる」

…初めて名前呼んだな。

「…手、出すなよ」

それだけ言うと背を向けて歩き出す。

「…なあ久瀬」

「なんだよ」

「…顔真っ赤。ってか合わねーセリフっ…」

そう言って肩を震わせる和樹をバシッと叩くと、

後ろの悲鳴と人が倒れる音は聞かないで、

どこか清々しい気持ちで

教室に向かった。
< 280 / 293 >

この作品をシェア

pagetop