陽だまりのなかの僕ら

「あーっ、もう行こう。夕日はあたしにとって目の毒。綺麗過ぎてね。」


ぐーんと伸びをして、藍実は階段を足早に降りていった。
すっかり人気がなくなった学校内を、痛いほどの静けさが覆っていた。

私も藍実を追って階段を降りる。


・・・今日は誰にも何も頼まれなかった。

なんだろうな、この、不満な感じ。
誰かに頼られなければ、埋められない溝が、私の心の中で疼く。

壮は、頼まれてたんだろうな・・・。
ダンボール持ってたもん・・・。

そう思い始めると、止まらなくなる。

明日はどうやってみんなに頼られようか?

どうしたらみんなは笑ってくれるかな?

どうしたら、どうしたら・・・





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