遠い日の約束
現在
激しく目覚まし時計の音が鳴る。この音のせいだ。寝起きが悪いのは。

右手で目覚まし時計の場所を探す。

「ん……」

少し探したがいつまでたっても見つからない。冷えた畳があるだけだ。

目を擦った。
左側にあった。
どうやら最近寝相も悪いみたいだ。

一階に降りて、顔をおうと鏡を見た。
疲れた顔をしているな。いや、老け込んだだけか。どちらにしろいい事ではないだろう。

無精髭が生えてきた。普段は抜くのだが広範囲に生えていたため、剃るか、抜くかで悩んだ。

後ろから足音がする。
茜音が近づいてきた。
いや、玄関に向かっているだけか。

「あ、おはよ」

茜音は目を合わせることはないが、まだ挨拶はしてくれる。

おう、とだけ返事をし、横目で茜音を見てみた。

根元の色は茶色く、毛先は金髪を通り越して白く見えた。

「染めたのか?」

「自毛」

最近、単語でしか返事が帰ってきてない。というか、久しぶりに見た気がする。

少し痩せたような、やつれたような、肌荒れしたような、食生活の乱れだろうか。

茜音は大きいぬいぐるみがついたスクールバッグを左肩にかけると、ぶっきらぼうに

「いってくる。」

とだけ言った。
柑橘系の香水の香りがした。スカートは短かった。

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