桜道【実話】

あたしの頬に

刺さったのはピアス

だった。



【これ…

あたしのじゃナイ…ズキッ】



ナオは

真っ直ぐ前を見たままだ。



【前の彼女の?】


聞く勇気がない。



あたしは

ピアスを

そのまま隅っこに置いた。




ねぇ…ナオ?



前の彼女にも

そんなに優しくしたの?




信号待ちの度に

抱き寄せたの?

キスしたの?



そして

この毛布にくるまって

眠ってたの?



【なんかイヤだょ…ズキン

前の彼女と同じ事

されるのイヤだ…ょ…

あたし…イヤダョ…グスン】




ナオの前の彼女が

いつもチラつく。




同じ会社に居る限り

ずっと

ビクビクすのだろうか?




顔の見えない影に―――






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