悪魔に取り憑かれました。
scarlet-スカーレット-

真珠

悪魔に生まれてよかった。


だって、人間を不幸にするのって楽しいし、不幸にした分だけ寿命が延びるんだから。



「はー………」



山の上の、大きな木の枝に寝そべって、小さな町を見渡す。


この町の人間、どれくらい不幸にしたかな。



事故起こさせたり川に落としたり、でも優しいから命だけは勘弁してやる。


おかげで今日も寿命が延びた。



「またここにいたの?」

「なんだ、ルビーか」


ここで寝てると、いつも幼なじみのルビーが来る。



「今日も派手にやったみたいね」


「まあな。そろそろ別の町に行くかな」


「ダイヤ以上に赤い目の悪魔、見たことないわ。恐ろしい悪魔ね」


「そのセリフ、そっくりそのまま返してやるよ」



二人で笑いあう。


人を不幸にするだけでずっと生き続けられるなんて、悪魔に生まれて正解だな。



このときは、そう思っていた。
< 154 / 228 >

この作品をシェア

pagetop