オレンジライト〜明るい日々へ〜



「涼也、ごめんね。」




「なんで謝るんだよ?」




「私のせいでみんなをこわい目にあわせちゃったから。」



「そんなことない。そんなの舞梨奈のせいじゃないよ。」



涼也は慰めてくれた。



「うん。」



私は少し微笑んだ。




涼也たちは、お兄ちゃんを狙った犯人が佐野さんだと思っている。



もちろん、特捜班のみんなも。




違う…。



佐野さんは絶対にそんなことしないよ…。



私はそう思う。




数時間後。



HCUの病棟内の廊下には昼間の眩しい光が射し込んでいる。




廊下を歩いていると、一人の女性が胸を押さえて苦しんでいるのが見えた。



「大丈夫ですか?」



私はその女性に近寄って声をかけた。




「誰か呼んできますね。」



私はそう言った途端、その女性は私の腕を掴んだ。




「平気です。だから、呼ばないで。」



その女性は言った。



「でも…。」



心配だったけれど、頼まれた通り誰も呼ばなかった。





< 55 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop