【完】冷たい彼との罰ゲーム




─聖side


学校に来て、少し机に顔を伏せ眠っていた。

起きたら、頭が痛くて俺は保健室へと向かった。


先生もいないし、勝手にベッドを使った。


すると、

遠慮してか、すぐ保健室の扉が開いた。 

俺はとっさに、寝たフリをした。


先生か……?


そう思ったけれど


『猪原くん……?』


この声は、相原?


すると、相原は1人で話し始めた。


そして……

『わかってるんだ……。だからね、今日で終わりだし、いい機会だから、もう猪原くんのこと、諦めようと……… 』


らしくないことを、相原が俺の髪に触れながら言った。


その時、俺は不意にも相原の腕を引っ張ってベッドの中に引きずり込んだ。



「い、いのはらくんっ!?」

当然のように、目を丸くして驚く相原。


「どういう風の吹き回し?」


「えっと、その……」

「俺、迷惑なんて言ってないけど?」


「いや……でもっ! 周りの人だって、よく思ってない人だって、いるし……」


なんだそれ。


「んなこと気にしてんの? バカじゃね?」


「あはは……。だよ、ね」


「ほんと、バカだよ」と後に付け足し、また悲しそうに笑う。


「お前、俺にどうしてほしいわけ?」


「……ううん。もういいんだ。私、もう諦めることにするね……?その方が猪原くんにとっても……」


「俺にとっても、ってなに?」

「え……、いや、だから」


「じゃあ、なんでお前……泣いてんの?」

コイツは、静かに涙を流していた。


「ち、ちがうんだよ……。これは、あの……。別れが寂しいって言うやつ!!」


そう言って、「えへっ」と泣きながら笑う。


「……泣くか、笑うかどっちかにしろよ」


「だ、よね……泣いてる子って、ほんとに面倒いし、ね……」


誰も、んなこと言ってねーだろ。


でも確かに、泣いてる女はずっとキライだった。

面倒くさいし、ウソくさい演技はするし。


けど、



「お前は、特別だ……」

なんて、そんなこと言ってる自分が……



「うわ……俺キモ」


やべ……。

つい口に出してた。



相原を見てみると、止まった涙が頬に残ったまま、黙って俺を見つめていた。




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