雪降る夜に教えてよ。
「キッチン勝手に漁るよ」

清々しい笑みを見せながら言う桐生さんに頭を抱えた。

だから!

その笑顔が一番信用置けないんだって!

だけど、どうすることもできずに彼の作った卵がゆを『あーんして』とか言われつつ食べさせられ……。

パジャマに着替えてからもブランケットを用意したり、本当に泊まるのか何度も聞いてしまったり、うろうろしていたら怒られて……。

「まだ寝室に行かないなら、強制的に連れ込むぞ。そしてちゃっかり隣に寝るけどいいのか?」

冗談とも真面目ともとれる言葉にのろのろと寝室に向かうとベットに潜り込む。

するとドアの向こうから声が聞こえた。

「途中、様子見に入っても問題ないか?」

問題はあるような気がするけれど、心配してくくれているのはよくわかる。

しかも、ちゃんと“入ってもいいのか”了解を取るところが“彼らしい”と言うか。

「お願いします。私のバックの中にたぶん鍵がありますから、それで帰ってもいい……」

「OK。何か必要なものがあったら買ってくるけど、何かいるか?」

……帰ってもいいという言葉は聞き流す方向でしょうね。

溜め息をつくと布団をかけなおして目を瞑った。

すぐに睡魔は訪れて、そのままゆっくりと、そして久しぶりにぐっすりと眠りについた。









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