神様、どうか。


「あのさ、もしよ。もしもなんだけど、好きだなと思う人があんたに居たとして。その人と元カノがいい感じなとき、あんたどうする?」


姉としてのプライドはこの際捨ててしまおう。

今は、経験値の高い妹に戦略と心構えを聞きたい。


「諦める。」

「は?」


私にとって予想外の言葉を、ビシッと言った我が妹に、思わず間抜けな声が出る。


「私、無理そうな恋愛はしないもん。」

「無理、そう…。」

「元カノってさ、やっぱり特別じゃん。
別れたとしても、一度は愛し合った仲っていうかさ。」


特別、か。


その言葉に、病院での社長と奈々さんの会話を思い出す。


たしかに、なんでもないやり取りでも二人の仲は親密で、二人だけの特別な距離感を感じてしまった。

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