神様、どうか。


「あ、タオルは持ってるので大丈夫です。」

「こんな小さなバッグに入ってるのか?」


社長の視線の先は、私の持っているクラッチバックへと移る。


どうせこんなことになるだろう、とタオルを圧縮袋にいれて持って来ている。


バックから社長に見せ付けるように取り出すと、社長とホテルスタッフさんは揃って目を丸くさせた。


「ちょっとお化粧室へ行ってきます。」


トイレには、幸いにも人は誰もいなかった。
私にしてはツイてるな。いや、今の状況はツイてないか。


ああ、目が真っ赤だ。でも、パンダにはなっていない。やっぱり、ウォータープルーフにして正解だったな。


タオルでワインを一旦拭き取り、それか濡らすとシミならないようにタオルで叩く。


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