Suiteカルテット

本音と涙 美羽

舞ちゃん遅いなぁ〜。

出ていってから、15分くらいたった。

私は椅子に座って、足をバタバタさせながら待っていた。

−ガチャン

舞ちゃんが、扉から入って来て、力任かせに扉を閉めた。

その場で、舞ちゃんは泣き崩れた。

私は急いで近くに寄った。

「舞ちゃん。どうしたの?」

「美羽〜〜やっぱり、隆也は優しさだけだったよ。もう無理なんだよ。」

優しさだけ…

「許婚、解消するって。分かってたはずなのに、少しくらい期待があったのかも。もう無理なの?」

そんな…。

「無理じゃない!無理じゃないよ。
許婚が全てじゃないじゃん。
諦めたらダメだよ。」

ありきたりな言葉だって分かってる。

でもね、本当に諦めたらダメだよ。

「私、応援するから。舞と隆也君が結ばれるように。」

その日出会ったばかりの舞の、本音。

隆也君の事すごく想ってたんだね。

その想い無駄にしちゃだめだよ。

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