甘々王子と黒王子

その人は

「先輩~」

放課後だけなのですよ

先輩と会えるのは。

「恵ちゃん」

あ~

修学旅行から先輩の顔

まともに見れないんだよね。

はぁ……

委員長に言われたこと言った方がいいのかなぁ?

ないとは思うけど

アレ、遅れてんのは事実だから。

う~……

「恵ちゃん?」

「す、すいません」

「いいけど……
何かあったの?」

「い、いえ」

「悩みがあるなら言ってね。
力になるから。
それとも、僕じゃ頼りない?」

「まさか!
全っ然!
先輩はすっっごぉく頼りになりますよ!
ただ……これはまだ言うことじゃないので」

まだっていうかいつ言えばいいのかわかんないんだけど。

「そう?」

「はい!
早く行きましょう。
電車乗り遅れちゃいます!」

「あ、うん」






ん?あれ……

校門のとこに人?

校門のそばに立っている女性。

三十代後半くらいかな?

派手な服に濃いメイクのその人は学校には場違いに感じる。

待ち合わせ?

誰かを待ってる?

その時、女性がこっちの方を向いて嬉しそうな顔をした。

そして、私たちの方に向かって来て言った。

「準!」

「せ、せんぱ……」

先輩?

先輩の顔は真っ青だった。

あの人は……誰?
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