【⑤おまけ】オオカミさんの新婚事情 上司とイキナリ結婚したら。
「3年分の妄想と嫉妬、プラス1月分の生殺し状態、思い知って貰う」


 私の小動物的な本能が、身の危険を告げている。


「あ、あのねワタシ。
 何せ3年ぶりのご無沙汰なもので…できればフツーな感じでお願いしたいと…」

「へえぇ、そうか。…そりゃあ調教しがいがありそうだ」

 色気に潜む嗜虐の笑み。

「ち…チョウキョウという、言葉が怖い…デス」

 ガラスに凭れた身体がずり下がる。

「酔いは?」

「さ、冷めました…すっかり。というか引きました」



 …野生の狼は、狡猾に寧猛に、かつ確実に獲物を仕留めるという。

 憐れな子山羊が例え上手に隠れたとて、逃げる術はない。


「ならいい…今夜は」

「あ…」

 崩れ落ちそうな腰を、彼がしっかりと抱き止めた。


「俺に酔え」
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