人が死ぬ
「ねえあなた。………ねえってば」


「………あ、うん………どうし…?、あっ!」


「きゃ!」


後続車が強引な追い抜きをした途端、自分たちの目の前で急ブレーキをかけた。


ハンドルをきった先に対向車がいなくて幸いだった。正面衝突なんてシャレにならない。減速して車間距離をあける。


「……危なかったな。アニーは大丈夫か」


「ええ、肝の強い子だわ。よく眠ってる。ミルクが足りてるのかしら」


「そうだな」


いけない。また焦点が定まらなくなってきた。


「マリアやめてくれないか、その……」


「え?」


「子守唄を」


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