彼女のことは俺が守る【完全版】
「藤森さん。どう?私はもう後一冊で終わるけど」


 気付くと定時を少し過ぎたくらいの時間になっていた。目の前に座っている竹中さんの机の上のバインダーも最後の一冊が残っているだけのようだった。私も同じように最後の一冊に入っているからそろそろ仕事も終わらせることが出来るだろう。


「私ももう終わります」


「それならよかった。今日は早く帰りましょ」


「はい」



 それからすぐに竹中さんと私はほぼ同時に最後のバインダーを終わらせたのだった。竹中さんは腕を伸ばし背伸びをしながら身体を伸ばしていく。パソコンを見つめ凝り固まった身体を伸ばすととても気持ちがいい。



「藤森さん。終わった?」


「はい。竹中さんの方はどうですか?」


「私も終わったわ。まだ先は長いから、終わったのなら早く帰りましょう」


「はい」


 私も竹中さんと同じ意見だった。


 明日は休みだけど、明後日からはまた同じように厳しい日々が待っている。


 だからこそ、今は早く帰りたい。


 着替えを終わらせた私が篠崎海に電話をしたのはそれからすぐのことだった。一瞬躊躇はしたけど篠崎海の番号に電話を掛けることにした。このまま、篠崎海のマンションに帰ってもいいけど、きっと彼は私からの電話を待っているような気がしてしまったからだった。歩いて帰るにしろ、早く連絡だけはしないといけないと思った。
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