strange
私達の担任になった松原先生は、25歳独身なのだそう。

バスケ部顧問で、狙ってる女の子も多いんだろうな。

晶乃ちゃんも、松原先生かっこいいって言ってとなぁ…


振り向いた晶乃ちゃんに、手でハートを作って見せると、真っ赤な顔で顔を軽く横に振った。

「やめろ」のサインだ。

去年は粟田先生というおじいちゃん先生だったな。

定年退職の年だったから、もう学校にはいない。


松原先生へ女子達が熱視線を送る傍で、2階の教室から私は中庭へと視線を落とす。

中庭の桜が咲いているのを、ぼんやりと見ていると向かい校舎の1階。

去年の私のクラスだった教室が見えた。

どうして私は去年のことをあまり思い出せないのだろう。

病気なのかな。

白いモヤが記憶を隠してしまう。


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